【GodotEngine】GutのDouble周りの使い方
Gut
GodotEngineではGutというユニットテスト用のプラグインがあります。 超絶便利です。
gutのアサーションなど基本的な使い方はとても良くまとめられた記事があるのでそちらを参照してください。
今回はGutでテストダブルの方法だけざっくりと紹介します。
テストダブル
テストダブルは、テストを行う際にテスト対象が依存するコンポーネントを利用せずに代わりのコンポーネントを利用してテストする手法です。例えばテスト対象が通信を行うコンポーネントに依存していた場合、そのままテストを実行すると毎回通信が走ることになり結構困ります。Twitterと通信するオブジェクトだったらテストのたびにツイートしたりするかもしれません。しかしテストは書きたい。そのような場合に依存コンポーネントを何らかの手段ででっち上げて、かつそれっぽい返り値を返してくれるようなダブル(代役)を立てるのがテストダブルです。
テストダブルは、その中でも役割によって名称が変わってきます。
- DummyObject
- Test Stub
- Test Spy
- Mock Object
- Fake Object
詳しく知りたい場合は、xUnit Test Patternsを読むとよいでしょう。
xUnit Test Patterns
GutでのDouble
じゃあGutでどうやってテストダブルするの?という話です。
基本形
var foo_double : Foo = double(Foo).new() # var foo_script = load("res://path/foo.gd") 型を使わない場合 # var foo_double : Foo = double(foo_script).new() # foo_double : Foo = partial_double(Foo).new() # 一部分だけのdouble
double(Foo).new()
でインスタンスが生成されます。この状態のインスタンスはメソッドをコールしても何もしてくれないし、何も返してくれません。ただただインスタンスがあるだけです。
逆にpartial_double(Foo).new()
は、この状態だと本来のインスタンスと全く同じ挙動のdoubleを生成します。こちらは後者のstubを行って特定のメソッドだけをでっち上げるときに使います。
ちなみに、ビルトインのクラスに対してもdoubleが可能です。
var double_node : Node = double(Node).new()
全部とは言わないがだいたいできるらしい。 https://github.com/bitwes/Gut/wiki/Doubles#what-do-i-do-with-my-double
Stub
都合のいい値を返してくれるようなダブルを「スタブ(stub)」と呼びます。
gutではstubメソッドで、特定のメソッドが呼ばれたときの返り値をでっち上げることができます。
var foo_double : Foo = double(Foo).new() stub(foo_double, "get_foo").to_return("foo") # get_foo() が呼ばれたら "foo" を返す gut.p(foo_double.get_foo()) # => "foo"
ちなみに引数ありのメソッドの場合は、特定の引数のときのみ返すという絞り込んだstubが行えます。
stub(foo_double, "get_foo_by_arg").to_return("foo").when_passed(10) # 引数が10で呼ばれたときのみfooを返す gut.p(foo_double.get_foo_by_arg(10)) # => "foo" gut.p(foo_double.get_foo_by_arg(50)) # => NULL
when_passed
メソッドでパラメータまで指定できます。
テスト対象にstubしたオブジェクトを渡すことで、対象が受け取るデータをこちらでコントロールできるようになり、テストケースの前提条件を用意しやすくなります。
Spy
テスト対象の処理を経由して、特定のインスタンスのメソッドがコールされたか?という観点で検証を行いたいときがあります。そのようなダブルを「スパイ(spy)」と呼びます。
var bar : Bar = double(Bar).new() var foo := Foo.new(bar) foo.do_foo() # この中でbar.do_bar()が呼ばれていてほしい assert_called(bar, "do_bar")
assert_called
は指定したオブジェクトのメソッドが呼ばれているかを検証します。例の場合はbar.do_bar()
が1度でも呼ばれていればOKです。
引数の検証まで行う場合は次のように記述します。
assert_called(bar, "do_bar_with_parameter", [10]) # do_bar_with_parameter(10) と呼ばれたか
ユースケース
簡単な例ですが、シューティングゲームっぽいケースを考えてみます。自機が存在して、ショットボタンを押したら弾が出る、といった感じです。
登場人物は次の3人です。
- MyGamePad: 入力を待つクラス
- BulletEmitter: 弾を生成するクラス
- Player: 上記を扱うクラス。今回のテスト対象
my_game_pad.gd
extends Reference class_name MyGamePad func is_shot() -> bool: return Input.is_action_pressed("ui_accept")
bullet_emitter.gd
extends Node2D class_name BulletEmitter func shot(direction_degree : int): # 弾が生成されるなにか pass
player.gd
extends KinematicBody2D class_name Player var _pad : MyGamePad onready var emitter : BulletEmitter = $Emitter func _init(pad : MyGamePad): _pad = pad func _process(delta): # ショットキー押してたら弾を出す的な if _pad.is_shot(): emitter.shot(rotation_degrees)
「ショットボタンが押された場合、弾を生成する」というテストケースを考えてみましょう。このテストを書くにあたって2つちょっと面倒ポイントが発生します。
- ショットが押されたという前提条件をどうやって用意するか
- 弾が生成されたことをどうやって検証するか
- godotだったらnodeの数数えてできないこともないが今回はやめておく
前者はstubを使ってでっち上げれそうです。後者はできないこともないですが、具体的な生成処理はBulletEmitter側の責務なので、Emitterにメッセージを送れたかという検証を行ってもよさそうです。ここはspyが使えそうです。
例えば次のように書けます。
test_player.gd
extends "res://addons/gut/test.gd" func test_player_shot_if_press_shot_button(): var game_pad : MyGamePad = double(MyGamePad).new() var emitter : BulletEmitter = double(BulletEmitter).new() var player := Player.new(game_pad) add_child_autofree(player) # nodeをtreeに追加 player.emitter = emitter stub(game_pad, "is_shot").to_return(true) # キーが押されたことにする gut.simulate(player, 1, .1) # 擬似的に1フレーム進行させる assert_called(emitter, "shot", [player.rotation_degrees]) # emitterが呼ばれたことを検証する
Playerの依存しているMyGamePadとBulletEmitterをdoubleにして渡しています。プレイヤーの入力はテスト中は取得できないので、game_pad.is_shot()
をスタブすることで擬似的に「キーが押された」という状況を作り出しています。
BulletEmitterはshotをコールされても何も行いませんが、assert_called
で呼ばれたのか、パラメータは適切なものが渡されたのかを検証しています。実際にどういう風に弾を出すのかはBulletEmitter側でテストを書くとよいでしょう。
また、gut.simulate
は擬似的にフレームの進行を再現するメソッドで、今回は1フレームとdelta_timeとして0.1秒を渡しています。これでplayerの_process(delta)
を呼び出しています。
ちなみにadd_child_autofree
はGut専用のノード追加メソッドです。このメソッド経由でaddするとGut側がテスト終了後によしなに開放してくれます。むしろ普通にadd_child
すると破棄まで自分で管理する必要があるので、特に理由がないならadd_child_autofree
を使うようにしましょう。
所感
動的言語だけあってdouble周りがかなりやりやすいという印象です。継承もいらないし。 とはいえdoubleしまくって本来のテストケースを正しく検証できなくては元も子もないので、ここぞというときに使うとよいでしょう。gut.simulateのおかげで割と挙動の再現しやすいし。
2020年ふりかえり
あっという間の1年だった。
今年やれたこと
リモートワーク
自分の意志でチャレンジしたというか、コロナ情勢下での新しい働き方が生まれたという感じ。 個人的にはリモートは凄くやりやすい。ただコミュニケーション問題をどう解決していくかは常に考えてかないといけないと思う。 個人的にはセカンドライフなりの空間でコミュニケーションとれると最高なんじゃないかと考えている
スクラムマスター
仕事では、4月からクライアントエンジニア兼スクラムマスターとしてあれやこれやとやっておりました。元々スクラムそのものには興味がありモチベーションとしては高かったものの、実際にロールとしてスクラムマスターを担ったときに自分が何をすべきかというのは結構悩みが多く、書籍を漁ったり人と会話するなどして模索しています。 幸いにも自分の部署はスクラムマスターが自分含めて3人ほどおり、スクラムマスター同士で情報を共有したり雑な相談などを定期的に行えるようにしていたおかげで精神的な負荷がかなり軽減されました。 この辺はなんか別で書きたいところ。
副業
副業で、某会社さんでUnityでテストを書いていくお手伝いをさせていただいてます。ハンズオンしたり、実際のコードを見ながらテストを書いて問題を見つけたりなどなど。テストを書くというか、基本はTDDをやって行けるチームにしましょうという目的でお手伝いしてます。 初めての副業で且つ、あんまり他でやっていることではないのでお互いに模索している段階ですが、今のところは継続させていただいてます。 メンバーの方々は自分より全然キャリアが長い方々なので僕自身も学ばせてもらっています。みんなモチベーションと技術力が凄い。
今年やれなかったこと
アウトプットの減少
コロナで勉強会系イベントが減ったということはあるけど、それを加味してもかなり少なくなったなあという感覚。
ゲーム開発時間の減少
全然ゲーム作ってねえ!ゲーム作りてぇ!
技術記事を書くのも大事だし、執筆して知の高速道路を作っていくのは超大事なんだけど、そもそも完成させるサイクルを増やしていかないと非常に危ないと思っている。自分の持っている知識がよいものとして使えるかどうかはやっぱり実際に使うしかない。それはAPIを触りましたではなく、作り切ってリリースすること。最近だとよく設計論を考えるのだけど、それこそ作るゲームのドメイン領域を突き詰めないと何がベターかを考えることは非常に難しいと思う。つまり、設計が綺麗だけど面白くないゲームというものじゃそもそも失敗なんじゃないかと考えるようになりはじめた。じゃあ面白い面白くないの評価ってなんぞとなるとそれは出すしかないのでリリースしていくべき。で、現状はリリースしてもないのに知識だけを出していっても仕方ないんじゃないか?と思い始めた年なのでした。
今年もお疲れ様でした
正直、とても自分の将来が不安になる一年でした。 まあなんとかやっていきましょう。
よいお年を
UnityでTDDハンズオンしたお話
Unityゲーム開発者ギルド2 Advent Calendar 2020 24日目のエントリです。2時間オーバーしちゃったごめんなさい
今月の頭くらいにUnityゲーム開発者ギルドの人たちを対象にTDDハンズオンをやってみました。
何故やったのか
TDDというのはなんとなくわかったのだけど、Unityでのゲーム開発を行うときにどう始めたらいいのかわからないということが最近あったのでどうしようかと悩んでいて。 FizzBuzzをTDDでやってみようなどは既にいっぱいあるけどやはりUnityというものと直接紐づいた事例がないので、もっと現実にありそうなテーマでTDDハンズオンをやってみようと考えたのでした。 何度も繰り返してブラッシュアップしていきたいなと思ったのでどこかで話を聞いてくれる人がいないかなあとギルドで募ったら意外とみなさん手を挙げてくださったので、感謝の正拳突きをしながらzoomでTDDハンズオンをしたのでした。
その時の画像。参加者の方にはモザイクをかけています。僕はアバターで参加しました。
二日連続でやったのですが二回参加された方もいて圧倒的感謝。 2時間超えの長丁場にお付き合いいただきありがとうございました。
UnityでのTDDは特殊なのか
特に何も変わらないと思っています。MonobehaviourがUnityレイヤにべったりで書きにくいというのはその通りですがそれはAndroidのActivityも大体そんな感じだしWebにおけるViewレイヤもそうであるのでUnityが特殊ということは無いでしょう。
どんなことをしたのか
名前変更機能を作ろう
ユーザーが自分の名前を変更できるようにしたい、というストーリー
- 開いたときに画面に現在の名前を表示させておきたい
- ユーザが入力フォームから入力できるようにしたい
- 名前はアルファベットのみで1~8文字以内にしたい
- 変更に成功したら変更成功したことを表示したい
- 変更に失敗したら変更成功したことを表示したい
- 現在の名前が変更後の名前に変わってほしい
- 名前の変更が保存されててほしい
画面には、自作コンポーネントの貼られていない、それっぽく作ったUIだけを添えています。
一切スクリプトがない状態か、これを実装していこう!みたいなストーリーです。
入力と加工と出力
要件は一杯あるので、まずはざっくりと入力と加工と出力に分類してみる。 基本的には出力はテストが難しい。出力はプラットフォーム固有の機能を利用することが多いのでテストに組み込みにくい。ログが吐かれていることをテストするのは若干骨が折れる。また、正解を定義しにくいのもある。「ゲームクリア!」と表示されていればいいのか?「GameClear!」になるとテストとして間違っているのか?みたいなところ。
加工部分は一番簡単である。何らかのインプットをすることで何らかのアウトプットが返ってくることを期待するのはプログラミングの基本だから定義しやすい。
入力
- ユーザが入力フォームから入力できるようにしたい
加工
- 名前はアルファベットのみで1~8文字以内にしたい
出力
- 開いたときに画面に現在の名前を表示させておきたい
- 変更に成功したら変更成功したことを表示したい
- 変更に失敗したら変更成功したことを表示したい
- 現在の名前が変更後の名前に変わってほしい
- 名前の変更が保存されててほしい
と思ったら出力ばかりでつらいですね。みたいなところから始まるTDDハンズオンです。
伝えたかったこと
大体この2点です
- 思考を書き出す
- 不安になったら書きましょう
大きな問題に大きいまま挑むとだいたい返り討ちに合います。メインのゲームを実行できるようにするぞと意気込むと、GameManagerでGodなClassが生まれて無限に連なるゲームを開始するメソッドが生えるでしょう。ゲームを実行するという言葉の解像度を少し上げてみると実はいろんな意味が含まれていたりします。
- 利用するアセットをロードする
- 敵キャラクターの生成
- プレイヤーの生成
- ゲームタイマーの設定 etc...
コードを書くその前に、対象を観察して問題を細かく分割していくことは大事です。これらは特別なスキルではなく、皆さん割と脳内で無意識に考えているはずです。その結果なんらかのクラスが生まれたりメソッドが生えたりするわけなので。その無意識に行っている分割と思考の整理をテストケースとして書き出すといいのではないかなと考えてます。テストを書くために特別な思考をというよりも、普段の脳内を垂れ流したらテストできてたみたいなイメージ。これを繰り返していくと手癖で書けるようになるのかなあとは思ってます。
不安になったら書きましょうはかなり抽象的な話ですが、自分自身こうしているので・・。すくなくとも全てのコードにテストを書く気はないしテストファーストじゃないといけないことはないです。なんかちょっと怖いな~と思ったら書きます。 怖いなー不安だなーをもっと具体的にするなら、コードの循環的複雑度が高そうなら書くといいのかなと思います。一切のif文のないまっすぐなコードを書くときに不安を感じる人はあまりいないでしょう。
また、不安の元をきちんと整理することも大事です。不安でテストを書きたいけどUnityが提供しているAPIが挟まってて書きにくいという状況もままあるでしょう。しかし一旦整理すると、その不安要素にUnity関係ある?みたいなこともあるかもしれません。僕はTransform.SetParentが正しく動くか不安だと感じたことはあまりありません。そこは想定したインプットをすれば想定したアウトプットをしてくれると期待しているからです。(もし期待通りに来なかったらUnity ForumにPostしましょう)
でも、Transform.SetParentの呼び出しに至るまでに自分で書いたロジックが大量に挟まっているなら不安になるかもしれません。その際は分離をしてみるか、みたいなアプローチを考えて書き直すのもアリかもしれません。
余談ですが、1メソッド単位でテスト書くのは僕は推奨しません。テストを書くためにカプセル化された機能が表に出るのは勿体ないし、メソッド名の変更だけでも修正の恐れがあるのはちょっと辛いからです。メソッドのテストを書くのではなく期待している振る舞いに対してテストを書く方が好きです。
反省
前半は簡単なテストから始めていったけど、後半は出力に近い領域のテストを書くためにinterfaceを挟んでモックを作るなどして一気に加速したのでそこからついていけないということが起きてました。この辺は今後改善していきたいところ・・・。
あとは、題材とした名前変更機能は昨今のスマホゲームなら確かにあり得るテーマだけど、リアルタイムなレスポンスがあったり、オブジェクト同士がぶつかり合ってメッセージングし合うとかいわゆる「ゲーム」みたいな場面とは少し離れているなぁと思った。なのでそのあたりをケアできるといいなあと考えている。
おまけ:欲しいのはテストかイテレーションか
ゲーム開発でテストコードを書くときに度々話題になることとして、Viewのテストが書きたいというモチベーションとの向き合い方があると思う。ここでいうViewは実際に画面に情報を出力する役割を持つクラスと定義する。 前述したが、出力に近い部分のテストは大抵書きにくい。
- 正常系の定義を定めにくい
- 変更頻度が多いのでメンテナンスコストが高い
- 出力部分の機能はテスト上で動かないことが多い
こういう理由があって割に合わないことが多いから自分はあまり出力部分をテストコードでカバーしたいと考えておらず、エディタとか実機で見ようぜ!みたいな考えがあるんだけどやっぱり声は聞いたりする。果たしてその気持ちはどこから溢れてくるのかというのを聞くと、こういうものがあった。
- 毎回実行して任意の画面まで遷移するコストが高い
コードを書いてPlayMode再生して、ログインしてホーム画面を通って目的の画面へえんやこら。これがアプリケーションの成長につれて時間がかかるようになる。なのでPlayせずに見たいし調整したい。テストコードでなんとかしたい!
凄く気持ちは伝わったけど、多分これはトライアンドエラーのイテレーション速度を上げたい欲求の話で、そこに対してテストコードで正常系を担保というのは目的と合ってなくて難易度が高そうだなと感じた。そもそもトライアンドエラーでいい感じに画面調整するために毎度毎度テストコード書き直すの辛いし。 これの実際の問題は直接画面を開くことができない設計になっていることで、何故直接開けないかというとその画面に必要な情報だけじゃなくてログインしたユーザデータとかその他諸々がシングルトンに鎮座していることが多いから。キャラクタのフレーバーテキストを見る画面でもユーザのインスタンスがないといけないとか稀に良くある。
そのあたりを改善するには、外から最低限のパラメータ流し込むだけで画面が単体で立ち上がるみたいなモジューラビリティの高い設計にしないといけなくて、それはコードを書き直していくしかなさそう。難易度が高いのはよくわかる・・。
なので、Viewのテストが書きたいとなったときは一旦立ち止まって見るのがいいなと思いました。
おまけのおまけ
Unityゲーム開発者ギルドでTDDハンズオンしたら欲しいものリストからどんどん送られてくるようになって人間の温かみを感じている
— いも (@adarapata) December 5, 2020
ありがたや… pic.twitter.com/vVAYV6vG9q
— いも (@adarapata) December 8, 2020
人間の温かさに包まれました
東方ゲームジャムに参加してゲーム作った
東方二次創作限定のゲームジャムが開催されてたので参加してみた。
木曜昼から日曜昼の72時間で開発・・というイベントだが、普通に仕事だったので木曜日に軽く触ってから土曜日から本格的に開発始めました。
作ったゲームの話
そんなわけで、「イブキン」というちび萃香で戦うアクションゲームができました。
ざっくり言うと、ピクミンに弾幕要素を足したゲームという感じです。最小の犠牲で倒してよりちび萃香を増やして強い敵を倒す。そんな感じです。デザインを整える時間がなかったので中々に厳しいUIをしていますが、ゲーム部分は歯ごたえあると思うので騙されたと思ってやってみて!
進捗の流れ
木曜日
今日の朝に気づいたので仕事終わってからチョット触ってた。
— いも (@adarapata) August 20, 2020
見切り発車過ぎてどうするか決めてないぞ!
#東方ゲームジャム pic.twitter.com/hGYPTY1idR
土曜日の夜
弾幕を避けながらちび萃香でボコボコにしてスコアを貯めたらさらにちび萃香を増やしてボコボコにするゲーム、仕組みはできたけどここから味付けか・・・ #東方ゲームジャム pic.twitter.com/FLGi5jbZgC
— いも (@adarapata) August 22, 2020
日曜日の朝
やべえよこれ pic.twitter.com/2hqcVM68qX
— いも (@adarapata) August 23, 2020
締切2分前
おもむろにプレイ動画を上げる
久しぶりに徹夜での開発をしたが、もう二度とやりたくないなと思った。
「2010年かな?」と思うほど東方のゲームが上がってきてハチャメチャにテンション上がりました。やはり未だに愛され続けてる幻想郷。
ここからはGodotEngineの話
普段はUnityなんだけど今回はGodotEngineで作ってみました。趣味でちょこちょこGodotを触ってはいたのだけどちゃんとリリースまでやったことはなかったので、いい機会とGodotチャレンジをねじ込んでみたのでした。
よかったところ
2D周りの機能が使いやすい
例えば今回はちび萃香や敵の移動として経路探索が必要なんだけど、Navigation2Dとタイルマップ機能が非常に使いやすくサクッと実装できた。タイルにナビゲーションの設定して設置していったらNavigation2Dのパス取得API叩いてよしなに帰ってくるようになってる。
この動画見たらすぐに使えたくらいの手軽さだった。
2D用のカメラ機能もあるんだけど、キャラクターを注視しつつ左右の移動幅の限界を付けるとか移動時のスムージングとかその辺はデフォルトで備わってるので凄く助かった。 UI部分も2Dと同じ座標空間で扱えるのでキャラの頭の上にライフのサークル置くとかも脳死でできたり。
GDScriptが楽しい
今回はGDScript(pythonベースの言語)で書いたけど、動的言語ではあるのでダックタイピングがやりやすく開発終盤にはめっちゃ助かった。衝突検知したオブジェクトにDamageメソッドあったら問答無用でぶん投げるとかそういうことを後半にやりまくってた。やりすぎるとどんなオブジェクトがやり取りされてるのかカオスになるけど、型を付けることはできるので基本的には型付けして一部の部分だけ自由奔放なコードができてた。 あとシグナル機能が標準で付いてるのは楽しい。完全に忘れてたので数年前の自分の記事を見ていた。
yieldとシグナルで非同期を待つのは手軽で便利だった。 Nodeに直接書く埋め込みスクリプトも、特定の部分だけ動かすためにさっと書くということができてうれしい。
イテレーションが早い
デバッグ実行までが異常に早く、コード書き直して1秒で再生できる。これのおかげでトライアンドエラーのモチベーションがかなり高く保ててる気がする。 GodotEngine内でコードを書けるというのも楽しい。当初はエディタは普通に多機能な外部IDEにした方が効率いいんじゃないかあと思ってたんだけど、ゲームエンジン <-> IDE画面を行ったり来たりすることがなくなると、集中が途切れにくくなるなと感じた。GodotEngine内蔵のエディタがちゃんと補完も利くしエラーとなりうる部分を教えてくれるのでそこまで不便ではないのも嬉しい。ドキュメント検索もしやすい。
大変だったところ
日本語記事の少なさ
本当に少ない、これはそう。素直に公式ドキュメントを見るかissueを見るかOSSなのでコードを読むか。今回は幸い近くにつよつよGodotエンジニアがいたので終盤の謎のクラッシュ問題の解消に協力してもらえたので何とか生き延びた。
逆に言えば日本語記事を考慮しなければyoutubeとかにも結構勉強になる動画が上がってるのでお勧めです。
おわりに
完成度は置いておいて、久々にちゃんと遊べるものとしてリリースまでもっていったので割と満足度高いです。やはり遊んでもらってナンボだなと思いました。 粗削りな部分が多いのでアップデートはかけていく予定です。
あと、30超えて徹夜で開発はするものではないなと思いました。
2月に読んだ本
今月は一冊のみ。読みかけのレガシーコード改善ガイドを読み終えた。
レガシーコードに対してどう立ち向かっていくのかを具体的に書いている本。とにかく実例がリアルだった。大量のif文やswitchが継ぎ足されたコードやほにゃららManagerなどなんだか見たことあるもののオンパレードで、且つ章のタイトルが「時間がないのに変更しなければなりません」など胸に刺さる。それらに対してどう切り込んでいくか。テストのないコードはレガシーコードであるとこの本では語っているので、兎にも角にもテストを書く。如何にテストハーネスに入れるかというところが多く書かれていて参考になった。 スプラウトクラス、スプライトメソッドなどの手法は元々行ってはいたが名前はこの本で初めて知ったので非常にためになった。レガシーコードに機能を入れるとき、当たり前ではあるが「これ以上複雑なコードにしたくない」という気持ちが根っこにある。しかし、どうしたら今よりシンプルかつ動くものになるのかを考えるのは難しくて、本当にこれでいいのかな?と試行錯誤しながら恐る恐る修正している。そんな時に書籍に載っていたこの手法!という風に確立されていればかなりの後押しになると思う。そういった点で、この本で名前を知れたことは凄く自分の中でありがたいことだった。もちろん手法が使えるかどうかはケースバイケースだけど。
目の前のレガシーが辛い!となっている人がこの先生きのこるためのサバイバル本って感じでした。
三月はせめて2冊くらいいきたいところ・・
1月に読んだ本
年末から読書欲が高まったので結構読んだ。
アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
元々読みかけだったやつを読み終えた。 現場でプロダクトバックログがうまいこと消化できなかったりしたときにちょくちょく読み返している。本を読んだうえで今もよく感じるのは、見積りの精度を高めるために時間をかけすぎてしまうこと。精度を高めるためにPBIに書いてあることを深読みして実装方法を考え熟考してしまう。その実装方法かわからないのに考えて結局1時間とかかかってしまうこともままあるので、その都度本に書いてある労力と正確さの相関図を思い出すのだった。
カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
これも元々読みかけだったやつ。計画づくりの事例よりももっと泥臭いストーリー展開が見れて面白かった。ほぼ小説なのでサクッと読めたのも良い。僕らは果たして江島さんになれるのだろうか。
アジャイルサムライ――達人開発者への道
アジャイル開発のマインドセットとCI/CDやテストなどがアジャイルの両翼であることが書かれててよいなーと思った。イテレーション・ゼロはこの本で知ったので新規でやる分は参考にできそうだなと思った。ちなみにゲームジャムとかハッカソンの時は「まずはビルドできるようにするぞ!」って意気込んで、なにより最初にビルドが通る環境を作るんだけど、これがイテレーション・ゼロなのではとふと思った。 あとマスター・センセイとか図とかが凄くいい日本語訳されててじわじわ来た。
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために
僕もガルパン限界オタクなので、ファンベースで定義されるファンの心理とか精神は非常に理解できた。「そう!それなんだよ!」と頷けるものがあるなら勝手に付いていくし勝手にガルパンはいいぞおじさんをする。新規を取得することは重要ではありつつもどうファンにしていくかは割と疎かになりがちなところなのでこの話は非常に面白かった。特にゲームはこのファン心理が強いものだと個人的に考えている。ファンは開発者を理解したがるし共にあろうとするのだ。
レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
そもそもどうしてレガシーコードになるのか、という話の本。コードレベルだけではなくアジャイルの話とかテストの話とかも割と多めに割いている。どうやって綺麗であるべきかという点が書かれているので、ここを目標として現状との乖離を分析したりするのもよさそう。逆に現在のレガシーコードと立ち向かう方法は書かれていないので、そのあたりはレガシーコード改善ガイドを読むのがおススメ。
オブジェクト指向設計実践ガイド ~Rubyでわかる 進化しつづける柔軟なアプリケーションの育て方
会社の人にお勧めされ読んだ本。オブジェクト指向がメッセージングのやり取りであること、というのを常に中心に添えているという印象だった。こんなやり取りを行うからこのクラスはこう名付けられるのだという考え方の順序が逆転するのはなるほどなと感心して、これがダックタイピングなのだなあと参考になった。最近どうレイヤー分けするのかというところを考えることが多く、そのレイヤーの中でどう実装するかという名前付けに苦しんでいた。これはどんなUseCaseなのかとかこれは何のEntityなのかとかそういうところ。クリーンアーキテクチャで言うところの「叫ぶアーキテクチャ」になっていないのではないかと悩んでいた。しかしこれこそ、どういうメッセージングを行うかを考えずに名前を付けて役割を考えようとしたことが原因なのかなあと立ち返るきっかけになった。
普段三ヵ月に一冊くらいしか読まないので、自分でも頑張った方やなって思った。 勢い着いたのでもっと読む癖付けよう。
2019年ふりかえり
毎年のやーつー
仕事
相も変わらずテスト書こうぜ!って言ってたりする。新機能を作ったり細々とした改善を行ってたりします。今年は「ゲームのクレジットに載る」という実績を達成したので最高にテンション上がりました。とはいえスマホゲームは運用が続くので永遠に踏ん張りどころだなというお気持ちです。
社内ではクリーンアーキテクチャ本読書会を完走しました
これいい本だからやりたいね!みたいな話から9人くらいで始まって、週一の半年くらいで読み終えました。クライアントとサーバサイドエンジニアの両方が参加していたことで、話し合うときのバックボーンがバラバラになっていたことは結構面白ポイントでした。サーバサイドはこういう設計が行われる、なぜならこうだからだ。ゲームクライアントはこの設計を良しとする、なぜならこうだからだ。みたいな話を聞けるのは新鮮だったと思います。
現在はTDD本読書会やってます。
これは前回よりは人数少ないけど細々とやっております。読んだり、テストフレームワークを写経したりなど。
社内では現行のプロジェクトにかかりっきりで中々自分が横展開できていないのが悩みどころなので来年だなあ。
登壇・LTとか
- どこから始めるUnity Test
- Humble Object Patternな話
- ふりかえりをいい感じにやるために
- Zenject Example ~さよならManager編~
- Zenject Example SubContainer
- Zenjectを導入する前に
Unityにおけるテスト&Zenjectみたいな感じで動いてました。 Zenjectに関しては、2019年はZenjectの情報をもっと増やして人口を増やすぞという計画を立てていたので意識的にZenjectのLT回数増やしてます。ブログもそんな感じで年初からZenjectで日本語で説明されているものがない部分を書いてたりしました。
前半頑張りすぎて後半止まってしまった感が否めない。その代わり本書いたので許して・・(後述)
別件で、個人のお仕事として他社のエンジニアを対象にUnityのテストとDIについてお話しするということを行いました。人生初の、「お金をもらって喋る」ということをやったのでめっちゃ緊張しました。これはコンサルティングになるのだろうか・・・。まだ相手の会社さんが記事出してないのでその辺出たら紹介します。
書いたもの
mixiの合同誌「mixi tech note Vol1」で「幸せな開発のために考えていること」という話を10ページくらい書きました。
コードの内側と外側の話を好き勝手書いてます。
9月の技術書典では、Zenjectの同人誌「ZenjectチョットワカルBook」を書きました。
個人誌は初めてなので死ぬかと思いました。こちらは物理本・電子本合わせて200くらい頒布できております。 割と好評いただいているようで、他社でこれ読んで作っておりますという話もいくつか聞いております。本当に感謝・・。 現在ぼちぼち後編も書き始めているので気長にお待ちいただけると幸いです。
ハッカソンとか
今年はPro Developers Game Jamの運営兼開発してました。
prodevelopers-gamejam.connpass.com
prodevelopers-gamejam.connpass.com
あと毎年恒例大八耐もやってました。
「本田君のリーゼントが!」という感じのパズルアクションを作ってました。塩漬けです。
今回の大八耐は、ぷよぷよみたいに降ってくるブロックに潰されないよう色変え弾を発射しつつ避けながら消していくアクションゲームを8時間くらいでガガっと作ってみました。やられ演出がお気に入りです #hachitai pic.twitter.com/fcPceDdqpJ
— いも@ZenjectチョットワカルBook (@adarapata) November 10, 2019
最近ハッカソン系が疎かだったのでシュッと作る能力が落ちてたけど、また勘が戻ってきた気がする
アニメ・映画
- PSYCHO PASS 1・2
- ジョジョ5部
- ダンベル何キロ持てる?
- ワンパンマン2期
- 上野さんは不器用
- 荒野のコトブキ飛行隊
- SHIROBAKO
- モブサイコ100 1・2
- 輪るピングドラム
- 妄想代理人
- かぐや様は告らせたい
- ゆるキャン△
- ケムリクサ
- どろろ(12話まで)
- 私に天使が舞い降りた!
- ハクメイとミコチ
- メイドインアビス
- プロメア
- 天気の子
- スパイダーマン・バース
- 名探偵ピカチュウ
- ゴジラ・キングオブモンスターズ
- アナと雪の女王2
- T-34 レジェンドオブウォー
- ガールズアンドパンツァー
- ガールズアンドパンツァー これが本当のアンツィオ戦です!
- ガールズアンドパンツァー 劇場版
- ガールズアンドパンツァー 最終章 1話
- ガールズアンドパンツァー 最終章 2話
去年より意識して観る数増やした。 スパイダーマン・バースは表現にひたすら衝撃を受けたのを覚えている。クライマックスの何が起こってるかよくわからないんだけどなんかカッコいいしなんか分かってしまうバトルシーンは凄かった。 プロメアはTRIGGER節が炸裂していて痛快娯楽だった。滅殺開墾ビームという単語が出てきて劇場で変な声出た。天気の子は昔Windows版遊んでた幻覚を観ました。
でも今期もガルパンが最高でしたね。
ちょっとマラソンしてくる pic.twitter.com/Zbii1D5lmY
— いも@ZenjectチョットワカルBook (@adarapata) June 15, 2019
ゲーム
- ポケモンシールド
- リングフィットアドベンチャー
- ガールズアンドパンツァー ドリームタンクマッチDX
- シャンティ ~海賊の呪い~
- シャンティ ~ハーフ・ジーニーヒーロー~
- MOON
- ペルソナ5
- スーパーマリオメーカー2
- スーパーロボット大戦T
- ライザのアトリエ
- くにおくん外伝 - River Side City
- 東方鬼形獣
- Project Winter
正直、RPGはポケモン以外クリアできてないのでつらい。PS4のゲームを腰を据えて遊べなくなってきた気がする。 それ以外としてはシャンティが想像してたより面白かった。結構難易度高めのアクションだったので歯ごたえは十分だった。あとキャラが可愛い。 スパロボTはいつもより絶望感少なくて笑える感じだった。ガンダムファイターとかスパイクとかヴァンとか肉弾戦が強すぎるメンバーが多すぎたのが原因かもしれない。ガンソードが軸にあるからか復讐上等みたいなキャラが多くて後押ししまくってたのもある。最終的にはフル改造したスコープドッグ一機で全滅させてた。 東方鬼形獣で久々にSTGをやったんだけど、どんどん腕が衰えて弾幕が避けられなくなってて悲しかった。ノーマルクリアはしてEXをまだクリアできてないのでリベンジしたい。 ガルパンドリームタンクマッチはオンラインの過疎化が辛い。みんなやろう。
大洗
7月と11月に行ってきた。最高だった
その他
バズった
友人の人生初バンジーを撮影したんだけど、閉園間際で蛍の光が流れ始めて非常に趣深いものが撮れてしまった pic.twitter.com/Kt2LUViZ2k
— いも@ZenjectチョットワカルBook (@adarapata) July 15, 2019
まとめ
ふりかえってみると去年より活発になっていた気がする。アニメ本数多いし。 意識的にやってたのもあり、この1年でUnity界隈において「Zenjectに詳しい人」という立ち位置にはなれたのかなと自負している。仕事のお話が出たのもそこからだったし。というか逆にそれ以外やってない。DOTS周りをもっと見たかったけどできてないし個人開発もあまり進んでないので全てはトレードオフなのだと実感する一年だった。 とは言え、個人で同人誌を出したり技術コンサル的活動をしたりと新しいことには取り組めたので割と良い2019年だった。来年は副業としてそういうお仕事をもっとやってみたい。お気軽にお声がけください。